環境関連の仕事に従事している方や、これから環境分野でキャリアアップを目指す方にとって、「環境計量士」と「公害防止管理者」は非常に価値のある資格です。
環境計量士(濃度関係)の資格を持っていると、公害防止管理者の資格取得が大幅に有利になることをご存知でしょうか?
本記事では、環境計量士(濃度関係)の資格を活かして、公害防止管理者の資格を効率的に取得する方法を詳しく解説します。
資格取得の時間と労力を最小限に抑えたい方、複数の環境系資格を効率よく取得したい方必見の内容です。
環境計量士(濃度関係)と公害防止管理者の関係
それぞれの資格の概要
環境計量士(濃度関係)
環境計量士は、計量法に基づく国家資格で、環境中の有害物質濃度を正確に測定・分析するスペシャリストです。合格率は約15%ほどと難易度が高い資格として知られています。
公害防止管理者
公害防止管理者は、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に基づく国家資格で、工場から排出される大気汚染物質や水質汚濁物質などの管理を行う責任者です。
13の区分があり、合格率は区分により20〜30%程度です。
公害防止管理者取得における環境計量士のメリット
通常、公害防止管理者の資格を取得するには
- 「国家試験に合格する」
- 「資格認定講習を受講して修了試験に合格する」
の2つの方法があります。
環境計量士(濃度関係)の有資格者は「資格認定講習」を受講する資格が得られます。
つまり、国家試験を受けることなく、講習と修了試験のみで公害防止管理者の資格を取得できるというメリットがあるのです。
環境計量士(濃度関係)資格保有者が得られる具体的なメリット
公害防止管理者資格認定講習を受講できる
環境計量士(濃度関係)の資格を持っていると、以下の5つの区分の公害防止管理者の資格認定講習に参加する資格が得られます:
- 大気関係
- 水質関係
- 特定粉じん関係
- 一般粉じん関係
- ダイオキシン類関係
資格取得の時間と労力の削減
国家試験に比べて、資格認定講習を受講する方が時間と労力が削減できる可能性があります。
もちろん、講習修了試験は国家試験に準じるレベルではありますが、講習で学んだ内容に沿った出題がされるため、効率的に学習できるメリットがあります。
試験内容の重複により学習効率が向上
環境計量士(濃度関係)と公害防止管理者の試験内容は部分的に重複しています。
そのため、環境計量士の学習内容を活かすことで、公害防止管理者の試験対策もスムーズに進めることができます。
資格認定講習の受講から合格までの流れ
受講資格と申込手続き
環境計量士(濃度関係)の資格保有者は、「技術資格」として公害防止管理者の資格認定講習の受講資格があります。申込手続きは以下の流れになります:
- 産業環境管理協会のウェブサイトから受講案内書と仮申込書をダウンロード
- 仮申込書に必要事項を入力し、受講資格を証する書類(環境計量士登録証など)とともに郵送
- 書類審査の結果、受講資格が認められた方のみが本申込み手続きを行う
- 講習受講料を支払い(各区分によって異なり、3万円〜5万円程度)
講習の内容とスケジュール
令和6年度からは全ての地域でE-ラーニングおよびCBT試験方式となっています。
講習内容は区分ごとに異なりますが、一般的に以下のような内容が含まれます:
- 公害概論
- 大気汚染関係法令/水質汚濁関係法令
- 汚染防止技術
- 測定技術
E-ラーニングで講習を受講した後、別途CBT方式の修了試験を受験します。
修了試験の難易度と合格率
資格認定講習の修了試験は国家試験に準じるレベルとされています。
公害防止管理者等資格認定講習の修了試験の合格率は約58〜60%程度で、国家試験の合格率(20〜30%程度)よりも高い傾向にあります。
これは講習内容に沿った出題がされることや、講習を通して体系的に学べることが要因と考えられます。
しかし、決して簡単ではないので、しっかりとした準備が必要です。
環境計量士と公害防止管理者、どちらを先に取得すべきか
環境計量士(濃度関係)を先に取得するメリット
環境計量士(濃度関係)を先に取得するメリットは以下の通りです:
- 公害防止管理者の資格認定講習を受講できる資格が得られる
- 作業環境測定士の試験科目免除のメリットも得られる
- 環境系資格の中でも難易度が高いため、他の資格取得が容易になる
公害防止管理者を先に取得するメリット
公害防止管理者を先に取得するメリットは以下の通りです:
- 区分によっては環境計量士より合格率が高い
- ある区分の公害防止管理者を取得後、他区分を受験する際は「公害総論」が免除になる
- 環境計量士の学習に役立つ基礎知識が得られる
最適な取得順序の提案
一般的には、環境計量士(濃度関係)を先に取得し、その後公害防止管理者の資格認定講習を受講するルートが効率的です。
環境計量士(濃度関係)は難易度が高い資格ですが、一度取得すれば公害防止管理者の複数区分を講習で取得できるメリットが大きいためです。
ただし、まずは取得しやすい公害防止管理者の区分(例:一般粉じん関係)から始めて、環境系資格の学習に慣れていくという方法も有効です。
環境計量士(濃度関係)の資格が得られるその他のメリット
作業環境測定士の試験免除
環境計量士(濃度関係)の有資格者は、作業環境測定士の試験において以下のメリットがあります:
- 「環境計量士(濃度関係)のための作業環境測定士試験科目一部免除講習」を受講して修了試験に合格すれば、国家試験不要で作業環境測定士取得登録講習に進める
- 講習を受けなくても、国家試験の共通科目2科目を受けるだけで良い
計量証明事業の開業
環境計量士の資格を持っていれば、計量証明事業(濃度に係る計量証明事業)を開業することができます。環境測定・分析の専門家として独立開業するための必須資格です。
企業内での評価向上
環境関連企業や製造業において、環境計量士と公害防止管理者の両方の資格を持つことは、専門性の高さを証明することになり、昇進や給与アップにつながる可能性があります。
まとめ:効率的な環境系資格取得戦略
環境系資格を効率的に取得するための最適な戦略は以下の通りです:
- 環境計量士(濃度関係)を取得する:難易度は高いが、取得後のメリットが大きい
- 環境計量士の知識を活かして公害防止管理者の資格認定講習を受講する:5つの区分(大気・水質・特定粉じん・一般粉じん・ダイオキシン類関係)の受講資格が得られる
- 作業環境測定士の免除講習も活用する:さらに資格の幅を広げることができる
- キャリアプランに合わせて専門性を深める:取得した資格を活かし、環境分野でのキャリアを発展させる
環境計量士と公害防止管理者の組み合わせは、環境分野でのキャリアアップを目指す方にとって非常に効果的です。
効率的な資格取得で、時間と労力を節約しながら専門性を高めていきましょう。
【Q&A】よくある質問
Q1: 環境計量士(濃度関係)の資格があれば、公害防止管理者の試験がすべて免除されるのですか?
A1: 完全に免除されるわけではありません。環境計量士(濃度関係)の資格があれば、公害防止管理者の「資格認定講習」を受講する資格が得られます。講習を受講し、修了試験に合格することで公害防止管理者の資格が取得できます。
Q2: 資格認定講習の修了試験の難易度はどのくらいですか?
A2: 修了試験は国家試験に準じるレベルとされていますが、合格率は58〜60%程度で、国家試験(20〜30%)より高い傾向にあります。講習内容に沿った出題がされるため、しっかり受講すれば合格の可能性は高くなります。
Q3: 環境計量士(騒音・振動関係)でも同じメリットはありますか?
A3: 環境計量士(騒音・振動関係)は、騒音・振動関係の公害防止管理者の資格認定講習を受講する資格が得られます。ただし、大気や水質などの他の区分については、環境計量士(濃度関係)の資格が必要です。
Q4: 公害防止管理者の資格認定講習はいつ開催されていますか?
A4: 資格認定講習は年に1回程度開催されています。最新の開催情報は産業環境管理協会のウェブサイトで確認できます。E-ラーニング方式が導入されているため、時間的な制約も少なくなっています。
この記事を通じて、環境計量士(濃度関係)の資格を活かした公害防止管理者の効率的な取得方法について理解を深めていただければ幸いです。両資格の取得によって、環境分野でのキャリアの可能性が大きく広がることでしょう。
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